おのはた

Interview

海事産業座談会

尾道の海を舞台に、
海事産業の働きやすさとカッコ良さについて語り合う

尾道は、海事産業の盛んな町。市内には大小合わせて20の造船会社があり、
それぞれの会社が得意とする技術や特徴を活かした船づくりを行っています。
今回は、4社の人事担当者が集まり、造船業の魅力や仕事やりがい、業界の裏話などを本音でトーク!

内海造船株式会社 管理本部 総務部 総務課 矢野 大河さん/向島ドック株式会社 管理部 採用担当 灰谷 利恵さん/尾道造船株式会社 人事部 人事課 花咲 里奈さん/株式会社三和ドック 管理部 管理課 志賀 勝さん

まずは、それぞれの会社について教えてください。
内海造船(株) 以下:N ) 新造船と修繕船の両方を手がけています。主力製品は、国内フェリー。宮島への連絡船や大型客船「さんふらわあ」など、一般の人が利用する船を造っています。
尾道造船(株) 以下:O ) 新造船と修繕船の両方ですが、割合的には海外が多く、ほとんどを新造事業が占めています。タンカーやコンテナを主力で造りながら、最近は多種多様な船の製造に携わっています。
向島ドック(株) 以下:M ) 当社は、船の修繕を行う会社。国内の港間を航行する内航船を中心に、トータルで年間約400隻の修理やメンテナンスをしています。
(株)三和ドック 以下:S ) 同じく修繕が専門です。セメント船やタンカーなど時期によって変わりますが、さまざまな種類の船を取り扱っています。
造船業についてイメージが沸かない人もいると思います。船は私たちの生活にどうリンクしているのでしょうか。
S ) 造船って固いイメージがありますよね。
O ) 船は私たちにとって無くてはならない存在ですが、自動車と比べて興味が沸きにくいんだと思います。もう少しポップなイメージになるといいな。
M ) 実は、国内貨物の約40%を船※1が担っています。生活をしていく上で欠かせない石油製品を筆頭に、自動車や農林水産品も運びます。でも、多くの人がトラックで陸送していると思っています。まだまだ造船業界のアピールが足らない(笑)。最近、工場見学の参加者が増えています。間近で見ると、船のスケール感に「わぁ!」となるので、まずは船を見に来てもらいたいですね。船だけでなく、海の世界に興味を持ってもらえるとうれしい!
※1ここでは内航海運を指します。内航海運は、国内の港と港を船で結んで貨物を輸送する海上輸送のことです。
S ) 私たちが使っている日用品のほとんどは船で運ばれています。そのことをもっと多くの人に知ってもらいたいです。
造船業の働きやすさについてはどうでしょうか?
O ) 夜間の勤務が無いのが良い。4社とも無いですよね。
M ) 工場の製造といえば、三交代制で夜勤があると思い込んでいる人は多いですよね。
N ) 定時の17時に仕事が終わると、そこからプライベートの時間がたっぷりあります。
O ) 営業は、対個人ではなくBtoB(企業間取引)なので、銀行や保険会社、小売業のようなノルマはありません。ノルマは嫌だけど、営業の仕事には魅力を感じているという人にはおすすめです。
S ) 当社もノルマはないです。99%がリピーターで、以前営業をしていた時は、既存のお客様を訪問して「どうも~。何かありませんか?」と声をかけて周る感じでした(笑)。もちろん、それぞれのお客様の状況を把握し、良い関係性を築いていることは前提です。
O ) 育休を取っている人が多いのも自慢です。女性は100%、男性も3分の2が取得。社内報で「育児休業を取得してください」と促していて、会社として制度を支援しています。
N  M  S ) 当社も増えています!
会社の雰囲気について教えてください。
N ) 良くも悪くもサラリーマンっぽくないと思います。造る方も直す方も、何百人単位のチームで作業を行っていて、和気あいあいとした雰囲気です。組織の中で揉まれるしんどさは少ないかな。
O ) 一昔前はやんちゃな人が集まるイメージでしたが、最近はインドア派の大人しい人が多い。
N  M  S ) わかる!
M ) サークル活動が盛んで、社員同士の交流の場になっています。「こんな部を作りたい」と申請してOKが出たら新しい部を作れるので、コロナ禍にはアウトドア部やサイクリング部ができました。
S ) 僕も今、サイクリング部を作ろうとしているところ。自転車代などを会社で補助してもらえるのはありがたいです。サバゲーサークルも人気ですよ。
O ) ソフトボール部やゴルフ部があります。ゴルフ部は若い世代にも人気で、ゴルフを通して仲良くなっている人は多い。ゴルフコンペは、協力会社の人を含め100人以上が参加する大イベントです。
N ) ゴルフをしている人は、年代問わず多いですね。
M ) サークル活動を通して、全然知らない人ではなくなるので、仕事もやりやすくなりますよね。

海運業界のこれから

造船業のみならず、船員も若手人財が増えてきており、各社それぞれ働きやすい職場環境づくりに努めています。安定的な海上運輸の確保は、今後の日本の発展においても極めて重要な要素です。

最後に、造船業のアピールポイントを一言!
N ) 完成後に乗れる船を造っているところ。当社の船は、北海道から沖縄まで全国各地を航行しているので、自分たちが造ったものに乗る喜びを感じることができます。
O ) 世界一大きい乗り物を造るダイナミックさ。船は何でも運べますが、船を運んでくれるものはこの世に存在しません。造るものもでかければ、スケールもでかい仕事です。
M ) 造船業は、島国・日本の物流を支えています。船を安全に航行し、物流を途絶えないようにすることが大切。船の寿命は長くなっているので、修繕して使い続けるというのはSDGsにもつながります。
S ) 船の修繕業は特殊で、同じ工事はほとんどありません。どう直せば使えるようになるかを自分で考えながら作業することが、やりがいであり魅力。船のより詳しい部分まで知ることができるのも修繕業の面白さです。

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